光のもとでⅡ
個人競技が終わると、最終競技であるダンスへ移行する。
一番最初はヒップホップダンス。
うちの組は各学年から男女ひとりずつ。
ほかの組が女子のみ、男子のみと編成する中、赤組は男女混合のメンバーだった。
私たちの学年からは空太くんと美乃里さん。
「がんばれ!」とところどころから声がかかると、ふたりは「がんばってくる!」と笑顔で請合った。
そんなふたりを見送ると、
「そこ邪魔」
「あ、ごめんなさいっ」
振り返ると赤いTシャツを着た飛翔くんが立っていた。
「そのTシャツ……飛翔くんもヒップホップに出るの?」
「見ればわかるだろ」
言うと、スタスタと歩いて階段を下りて行く。
「飛翔の態度は相変わらずだな。御園生さん、大丈夫?」
風間先輩の声に振り返ったそのとき、
「え……?」
風間先輩の十メートルほど向こうに見えるのは――。
「ん? なんかあった?」
風間先輩も振り返りる。
そこには黒いTシャツに細身の黒いジーパン、黒いキャップ帽をかぶった一向がいて、その中のひとりがツカサだったのだ。
「げっ……聞いてねーよっ、藤宮がヒップホップっ!? しかも、美都もっ!?」
気づいた人は皆が唖然として動作を止める始末。
結果、ツカサたちが歩く場所は自然と道ができるわけで、余計に視線を集めることとなる。
ツカサは注目されていることなどものともせず階段を下りていくし、朝陽先輩は「応援してね」などと笑顔を振りまいて下りていく。
「あんのふたり、ワルツに出ないかと思ったらこっちかよ……」
「これはやられた感半端ないわね」
静音先輩が会話に加わりワルツメンバーみんなが唸る中、私はひとりツカサの姿を追っていた。
呼吸が止まってしまったことにも気づけなかったし、ツカサたちに気づいた女の子たちが狂喜乱舞しているのも目に入らない。
これからどんなツカサが見られるのか、とドキドキする胸を押さえ、ただひたすらにツカサを目で追っていた。
一番最初はヒップホップダンス。
うちの組は各学年から男女ひとりずつ。
ほかの組が女子のみ、男子のみと編成する中、赤組は男女混合のメンバーだった。
私たちの学年からは空太くんと美乃里さん。
「がんばれ!」とところどころから声がかかると、ふたりは「がんばってくる!」と笑顔で請合った。
そんなふたりを見送ると、
「そこ邪魔」
「あ、ごめんなさいっ」
振り返ると赤いTシャツを着た飛翔くんが立っていた。
「そのTシャツ……飛翔くんもヒップホップに出るの?」
「見ればわかるだろ」
言うと、スタスタと歩いて階段を下りて行く。
「飛翔の態度は相変わらずだな。御園生さん、大丈夫?」
風間先輩の声に振り返ったそのとき、
「え……?」
風間先輩の十メートルほど向こうに見えるのは――。
「ん? なんかあった?」
風間先輩も振り返りる。
そこには黒いTシャツに細身の黒いジーパン、黒いキャップ帽をかぶった一向がいて、その中のひとりがツカサだったのだ。
「げっ……聞いてねーよっ、藤宮がヒップホップっ!? しかも、美都もっ!?」
気づいた人は皆が唖然として動作を止める始末。
結果、ツカサたちが歩く場所は自然と道ができるわけで、余計に視線を集めることとなる。
ツカサは注目されていることなどものともせず階段を下りていくし、朝陽先輩は「応援してね」などと笑顔を振りまいて下りていく。
「あんのふたり、ワルツに出ないかと思ったらこっちかよ……」
「これはやられた感半端ないわね」
静音先輩が会話に加わりワルツメンバーみんなが唸る中、私はひとりツカサの姿を追っていた。
呼吸が止まってしまったことにも気づけなかったし、ツカサたちに気づいた女の子たちが狂喜乱舞しているのも目に入らない。
これからどんなツカサが見られるのか、とドキドキする胸を押さえ、ただひたすらにツカサを目で追っていた。