光のもとでⅡ
Side 翠葉 09話
ヒップホップダンスの熱狂さめやらぬまま、プログラムは進行する。
創作ダンスを踊るメンバーがフロアに出て競技を始めようという状態になってもまだ、場内は浮き足立ったまま。
かく言う私の心臓も、まだドキドキしていて創作ダンスに意識が向かない。
「御園生、そろそろアップ行ってきたら?」
佐野くんに声をかけられてはっとする。
そうだ、創作ダンスが終われば次はワルツ。私はこの時間にウォーミングアップを済ませなければならないのだ。
教えてくれた佐野くんに感謝。やっぱり、今日の佐野くんは神様だ。
「ちょっと行ってくるね」
「俺も行こうか?」
「ううん、ひとりで大丈夫。佐野くんは競技見ていて?」
「そう?」
「うん。軽く柔軟運動をしたら、観覧席をぐるっと二、三周する程度だから」
「了解」
私はミニバッグを持って席を立った。
ストレッチから始めたいけれど、観覧席もフロアも人が行き来する。
人の邪魔にならないところ――。
桜林館を見回して気づく。北側の半月ステージ裏なら人もいないしある程度のスペースが確保できる、と。
実際、ステージ裏は人が誰もおらずしんとしていた。
ここならゆっくりストレッチができそうだ。
腰を下ろすと身体の筋をゆっくりと伸ばし、ペタペタとあちこちに触れて痛みのレベルを把握する。
「朝よりほんの少し痛みが強くなったかな……」
でも、お昼の薬を飲んだのだから薬効はきちんと維持されるし、佐野くんに触れられる場所はさほど痛くないから大丈夫。
「よしっ、ウォーキング!」
創作ダンスを踊るメンバーがフロアに出て競技を始めようという状態になってもまだ、場内は浮き足立ったまま。
かく言う私の心臓も、まだドキドキしていて創作ダンスに意識が向かない。
「御園生、そろそろアップ行ってきたら?」
佐野くんに声をかけられてはっとする。
そうだ、創作ダンスが終われば次はワルツ。私はこの時間にウォーミングアップを済ませなければならないのだ。
教えてくれた佐野くんに感謝。やっぱり、今日の佐野くんは神様だ。
「ちょっと行ってくるね」
「俺も行こうか?」
「ううん、ひとりで大丈夫。佐野くんは競技見ていて?」
「そう?」
「うん。軽く柔軟運動をしたら、観覧席をぐるっと二、三周する程度だから」
「了解」
私はミニバッグを持って席を立った。
ストレッチから始めたいけれど、観覧席もフロアも人が行き来する。
人の邪魔にならないところ――。
桜林館を見回して気づく。北側の半月ステージ裏なら人もいないしある程度のスペースが確保できる、と。
実際、ステージ裏は人が誰もおらずしんとしていた。
ここならゆっくりストレッチができそうだ。
腰を下ろすと身体の筋をゆっくりと伸ばし、ペタペタとあちこちに触れて痛みのレベルを把握する。
「朝よりほんの少し痛みが強くなったかな……」
でも、お昼の薬を飲んだのだから薬効はきちんと維持されるし、佐野くんに触れられる場所はさほど痛くないから大丈夫。
「よしっ、ウォーキング!」