光のもとでⅡ
 話が一段落ついたところで、ツカサが両親と蒼兄たちに向かって「すみませんでした」と頭を下げた。
「ツカサ……?」
「今回のことは自分に要因があります」
「そんなっ、ツカサが謝ることじゃないって話したでしょうっ!?」
「それでも、間接的に絡んでいることに変わりはない」
 再度両親へ向き直ると、改めて頭を下げる。
 お母さんたちは顔を見合わせ互いに肩を竦め合う。そしてツカサに向き直ると、
「事の経緯は川岸先生から聞いているわ。でも、私たちも翠葉と同じ意見よ。司くんが悪いとは思わない。それに、翠葉はあなたに関わることを、藤宮に関わることを選んだの。だからといって何に巻き込まれても仕方がない、と言うつもりはないけれど、嫉妬や反感を買うことから逃れられないのは事実よ。でも、どんな感情を抱かれたとしても、今回のような怪我を防ぐことはできるはず。そうでしょう? 翠葉も司くんも、今回のことで思うところがあるのなら、今後に生かしなさい。同じことを繰り返さないように、同じ後悔をしないように。ふたりで話し合うもよし。人に相談するもよし。肝心なのは、このままでいないこと」
 どんなときも呼吸を乱さないツカサが、今は忘れたように息を止めていた。
「考えてみて? 事前に防ぐことができれば翠葉は傷つかずに済むし、罰を受ける人も生まれないのよ」
 お母さんはにっこりと笑い、
「さ、ご飯にしましょう。お腹空いたでしょう?」
 お母さんと栞さん、唯兄は夕飯の準備にキッチンへ向かい、夕飯の支度を始めた。
 その場に残った人はというと、私を囲んだままじっと足を見ている。
 昇さんは楓先生に渡された湿布を手に取り、
「今日は風呂に入んのはやめとけ。汗かいたならタオルで拭くだけにしときな。明日以降も腫れが落ち着くまではシャワーな。見たところ足首は問題ないみたいだから、安静にしてるならテーピングまではしなくてもいい。そのほうが剥がすときも楽だしな」
 二枚の湿布を貼られ、
「こんなもんか?」
 昇さんが顔を上げると、
「なんだ、右手もやったのか?」
 袖に隠れていた手を取られた。
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