光のもとでⅡ
Side 翠葉 02話
病院からマンションへ帰ってくると、高崎さんに案内され、コミュニティタワーに新しく用意されたミュージックルームへ向かった。
ガラス戸の向こうにはグランドピアノとハープが運び込まれており、先生が仕上がりを確認するようにピアノを弾いていた。
ドアを開ける音に気づいた先生が顔を上げ、「お帰りなさい」と声をかけられる。
「ただいま戻りました」
「足はまだ治らないようですね」
「はい。あと一ヶ月ちょっとは松葉杖生活です」
「そうですか……。くれぐれもお大事になさってくださいね」
「ありがとうございます」
「さて、帰ってきて早々ですが、ピアノの感触を確かめてみませんか?」
「はいっ!」
そのままピアノへ向かおうとしたら、
「その前に手洗いうがい」
ツカサに首根っこ掴まれ、部屋の隅にある洗面台へと追いやられた。
そこにはハンドソープとうがい薬、カップが用意されていて、コンシェルジュの気遣いがうかがえる。
感謝しながらうがいを始めると、背後では先生とツカサの自己紹介が始まっていた。
「御園生さんのにピアノを教えている仙波と申します」
「藤宮司です」
「藤宮というと……秋斗さんやホテルオーナーの血縁者ですか?」
「はい。秋斗は母方の従兄になります。ホテルオーナーは義兄にあたります」
「そうでしたか。では、今日は御園生さんと一緒にピアノの音色を確認なさっていってくださいね」
私がふたりのもとへ行くと、ツカサはソファに座り、先生はピアノ前のポジションを譲ってくれた。
ガラス戸の向こうにはグランドピアノとハープが運び込まれており、先生が仕上がりを確認するようにピアノを弾いていた。
ドアを開ける音に気づいた先生が顔を上げ、「お帰りなさい」と声をかけられる。
「ただいま戻りました」
「足はまだ治らないようですね」
「はい。あと一ヶ月ちょっとは松葉杖生活です」
「そうですか……。くれぐれもお大事になさってくださいね」
「ありがとうございます」
「さて、帰ってきて早々ですが、ピアノの感触を確かめてみませんか?」
「はいっ!」
そのままピアノへ向かおうとしたら、
「その前に手洗いうがい」
ツカサに首根っこ掴まれ、部屋の隅にある洗面台へと追いやられた。
そこにはハンドソープとうがい薬、カップが用意されていて、コンシェルジュの気遣いがうかがえる。
感謝しながらうがいを始めると、背後では先生とツカサの自己紹介が始まっていた。
「御園生さんのにピアノを教えている仙波と申します」
「藤宮司です」
「藤宮というと……秋斗さんやホテルオーナーの血縁者ですか?」
「はい。秋斗は母方の従兄になります。ホテルオーナーは義兄にあたります」
「そうでしたか。では、今日は御園生さんと一緒にピアノの音色を確認なさっていってくださいね」
私がふたりのもとへ行くと、ツカサはソファに座り、先生はピアノ前のポジションを譲ってくれた。