光のもとでⅡ
今日は知っている人がふたり試合に出る。
鎌田くんとツカサ。それぞれの試合を心の中で応援していた。けれども、鎌田くんは敗退。
負けた選手は皆悔しそうな顔をしていて、泣いてしまう人もいた。そんな中、鎌田くんは妙に清々しい表情をしていて、鎌田くんの周りにある空気だけが異質なものに思えた。
自分の力は出し切った――そんな顔に見えたのだ。
そして、射場から出るときの礼がとても印象的だった。ツカサが行うそれとそっくりで、とても美しい礼だった。
最後の試合、ツカサの射を見たあとに藤棚の裏手へ回る。と、満開の藤に迎えられた。
徹底したメンテナンスはされていないのか、大ぶりの藤から小ぶりの藤まで形は不揃い気味。それらは風が吹くと柔らかな房を揺らし、涼やかな音を立てる。
「きれい……」
藤に向かって手を伸ばしたとき、
「御園生」
その声に振り返る。
鎌田くんとツカサ。それぞれの試合を心の中で応援していた。けれども、鎌田くんは敗退。
負けた選手は皆悔しそうな顔をしていて、泣いてしまう人もいた。そんな中、鎌田くんは妙に清々しい表情をしていて、鎌田くんの周りにある空気だけが異質なものに思えた。
自分の力は出し切った――そんな顔に見えたのだ。
そして、射場から出るときの礼がとても印象的だった。ツカサが行うそれとそっくりで、とても美しい礼だった。
最後の試合、ツカサの射を見たあとに藤棚の裏手へ回る。と、満開の藤に迎えられた。
徹底したメンテナンスはされていないのか、大ぶりの藤から小ぶりの藤まで形は不揃い気味。それらは風が吹くと柔らかな房を揺らし、涼やかな音を立てる。
「きれい……」
藤に向かって手を伸ばしたとき、
「御園生」
その声に振り返る。