光のもとでⅡ
「俺が鎌田なら、そんな簡単には引けないと思う。翠は告白して相手に断られたらそれで終わりにできるんだ?」
 翠は一度口を噤んでから、
「……ツカサは私が考えもしないことを思いつくのね」
「翠の考えが浅はかなだけだと思うけど」
 このペースで話してしまうと自分の口から毒しか出てこない気がする。けれども、話し始めてしまえばそれを止める術はない。
 先日から溜まりに溜まったもやもやしたものを一掃すべくすべて口にしてしまいそうだ。それを口にすることが俺の本意ではないにも関わらず。
 俺の心境を知らない翠は思いがけないことを言いだした。
「ツカサの考えが正しかったとしても、それは仕方のないこと……らしいよ?」
「らしい」ということは、翠の持論ではないということか……?
「好きな人に好きな人がいたり付き合っている人がいると、しだいに心は収まるところに収まるものだ、って佐野くんが教えてくれた」
 ふぅん、とは思うものの、自分には到底理解できない心情の変化だ。
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