光のもとでⅡ
 隣の翠を見ると、どうしてか涙ぐんでいた。ここで泣かれても困るし、早く答えが欲しくて、
「……翠、返事」
「……うん、行く。あのね、先日朗元さんから振袖一式が届いたの」
 翠は嬉しそうに目を細めて答えた。
「それを着て出席したら、面倒な人間たちの目にも留まることになるけど?」
「……ツカサ、何度でも言うよ。私、ツカサたちに関わったことを後悔するつもりはないの。だから、大丈夫。何かあれば警護についている人たちが守ってくれるのでしょう?」
 なんだかんだ言って……俺は繰り返し翠に尋ねることで同じ答えを欲しているのかもしれない。まるで、翠の気持ちを確認するように。
 あまりにも自信のない自分が情けなく思えてくる。そんな自分だからこそ、このくらいのことは自分から言いたい。
「その日、翠のエスコートを俺にさせてほしい」
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