光のもとでⅡ
 全然お嬢様っぽくないけど、碧さんは歴としたお嬢様だった。
 そんな事実を知ったのは年末のこと――。

 リィに付きっ切りになっている碧さんたちを見て、あんちゃんがぼそりと呟いたのだ。
「おじいちゃんたちに連絡しないと」
「え?」
「正月は毎年父さんと母さんの実家へ行くことになってるけど、どう考えても今回は無理だ。父さんも母さんも、たぶん実家には連絡すら入れてないと思う。代わりに連絡だけは入れないと……」
 あんちゃんが零樹さんの実家と碧さんの実家に連絡を入れているのを横目に見ながら、ぼんやりと考えた。家族での正月の過ごし方を。
 小さい頃から正月だろうが夏休みだろうが両親の実家へ行くことはなかったし、旅行へ行くこともなかった。でも、学校の友達は、長期休暇に入れば必ずどこかへ旅行に行っていたし、正月にはおじいちゃんおばあちゃんの家にお年玉をもらいにいく、と言っていた。それは御園生の家も変わらないのかもしれない。
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