光のもとでⅡ
 望むとすれば、かけたいときに電話をかけられるようになれたらいいけれど、それは私の課題であって、ツカサにどうこうしてもらうものじゃない。
 話す内容がなかったら天気予報くらい話せるようになろう。
 でも、電話をかけずとも携帯にはツカサの声が録音されている。その声を聞く分には何を話さなくちゃいけないと思うことも、何か話せと要求されることもないのだ。
 出口に向かって歩きながら、
「今日、このあとは部活?」
 訊くと、ツカサはまださっきの表情のままだった。
「……そうだけど」
「じゃ、早く行かなくちゃだね」
「……翠の予定がないならこのあと少し付き合って」
「え?」
「さっきの予算案、パソコンに入力してプリントアウトするから」
「……うん、わかった」
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