光のもとでⅡ
「唯芹くんにとっては規格外な両親ができて大変かな? でも、翠葉と蒼樹ともうまくやってるみたいだね」
「あ、はい……」
「そんなに緊張することも気後れすることもないよ。これからは気軽に遊びにおいで。ここに来づらかったら僕の家でもかまわないしね」
「は、い……」
 訪れた沈黙に心臓とか胃が裂けるかと思った。けれど、その沈黙は数秒で終わる。
「叔父さん、パソコンの調子悪いって言ってなかった? 唯に任せたら稼働率上げてもらえること間違いなし!」
 あんちゃんは俺の両肩に手を乗せ、人身御供よろしくずいずいと前へ追いやる。
「お、そうなの? メカ関連強いんだ? ちょうど良かった。友達にメンテナンスを頼もうかどうしようか悩んでたところなんだ。じゃ、ちょっと二階へ行こうか」
 そんな具合に、俺はアンティーク博物館のような応接室をあとにした。
< 210 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop