光のもとでⅡ
「さて、これが問題のパソコンなんだけど」
 俺は差し出されたパソコンをいじりながら、数時間を男三人、二階の一室で過ごした。

 夕飯の時間になるとお手伝いさんである吉田さんが呼びに来た。
 幅広な階段を一段下りるたびに緊張が助長する。と、ポン、と背中に手をかけられた。手の主は叔父さん。叔父さんはにっ、と笑って、
「緊張は伝染するぞ?」
 妙にあんちゃんっぽい言葉を口にした。

 夕飯を食べる部屋は一般的に言われるダイニング、という感じではない。
 広い部屋に大きな細長いテーブルと背もたれの高い椅子だけが置かれた部屋。
 もちろん、テーブルの中央には料理のプレートを邪魔しない程度に生花がいけられている。
 咄嗟に思い出すのはパレスでの晩餐会。そんな記憶が引き出される程度には非日常なる空間。
 向かいには、おじいさん、おばあさん、碧さん、黄叔父さん。こちら側にはあんちゃん、俺、リィ、零樹さん。そんな席次で夕飯が始まった。
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