光のもとでⅡ
 テーブルマナーが必要とされる食事に何を味わうこともできずにいたけれど、ホテルで習ったことを必死に思いだして対応。それに、時折両サイドのあんちゃんとリィがさりげなくフォローしてくれていた。
 何より、俺の席からは少し離れた黄叔父さんが頻りに話しかけてくれることで、対面にいるおじいさんとおばあさんとも言葉を交わせるようになった。
 言葉を交わせるようになったとはいえ、対応しているのは猫を被っている俺なわけだけど……。
 もっと素の自分で接したい。そうは思うけど、受け入れられなかったときのことを考えると、いい子でいたほうがいい、と判断する自分がいる。
 最初に猫を被ってしまったら、今後ずっと被り続けなくてはいけない。わかっていながら拒絶を怖がる自分が先に立つ。そんなとき――。
「父さん、さっき蒼樹から聞いたんだけど、お年賀にワインを手配してくれたのは唯くんらしいよ」
 その言葉に心臓が止まりそうになった。
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