光のもとでⅡ
「零樹の母の佳苗(かなえ)です」
佳苗さんは城井のおばあさんとは対照的。食堂のおばちゃん的な雰囲気だ。
「あら? 唯芹くんが持ってるそれ、近くのスーパーのレジ袋? 何を買って来たの?」
緊張して言葉に詰まっていると、するり、とあんちゃんがフォローしてくれた。
「唯、料理が得意なんだ。今日もおじいちゃんはお酒飲むでしょ? そのときのおつまみ作ってくれるって」
「あら、本当っ!? 助かっちゃうわ! 何もないところだけど上がって上がって」
何もない、というのは非常に適切な表現だった。
家自体は城井の家と比べたら格段に、個人宅といえる規模だ。けれども、物という物が置かれていないためか、やけに広く感じる。
たとえるなら、入居前の部屋を見て広いと思うあの感覚。人が住んでいるのに、どうやったらこんなに物がない家でいられるのか――。
佳苗さんは城井のおばあさんとは対照的。食堂のおばちゃん的な雰囲気だ。
「あら? 唯芹くんが持ってるそれ、近くのスーパーのレジ袋? 何を買って来たの?」
緊張して言葉に詰まっていると、するり、とあんちゃんがフォローしてくれた。
「唯、料理が得意なんだ。今日もおじいちゃんはお酒飲むでしょ? そのときのおつまみ作ってくれるって」
「あら、本当っ!? 助かっちゃうわ! 何もないところだけど上がって上がって」
何もない、というのは非常に適切な表現だった。
家自体は城井の家と比べたら格段に、個人宅といえる規模だ。けれども、物という物が置かれていないためか、やけに広く感じる。
たとえるなら、入居前の部屋を見て広いと思うあの感覚。人が住んでいるのに、どうやったらこんなに物がない家でいられるのか――。