光のもとでⅡ
「それっ、注がせてもらってもいいですかっ!?」
 大樹さんは俺の声に驚いたようで、ピタリ、と動作を止めた。
「……注がせてください」
 言葉なく酒瓶を渡され、グラスを俺に向けてくれる。
 トクトクトク――昨日同様、注ぐ際に手が震えた。
「アルコール中毒か?」
「え……?」
「手が震えている」
「あ……あ~……緊張してます」
「そうか」
「はい」
 そして無言……。
 ちょっと~……誰か助けてよぉ。
「おじいちゃん、このおつまみ全部唯兄の手作りなのよ」
「おまえ、すごいな?」
「いえ……」
「じゃ、翠葉の快気祝いと唯の歓迎会だ。乾杯っ」
< 236 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop