光のもとでⅡ
 大樹さんの急な音頭にビビリながら、板の間に置いていたグラスを手に取った。零樹さんだけは運転手要員ということでお酒には手をつけず、リィとふたり、珍しく炭酸系のジュースを飲んでいる。
 酒を飲み始めると、各々おつまみに箸を伸ばす。
 佳苗さんは頻りに褒めてくれ、碧さんは頻りに俺という人間を自慢してくれた。そうこうして会話が増えていくと、段々とその場に自分も馴染めるような気がしてくる。グラスが空くと、大樹さんがすかさず酒を注いでくれる。そして、大樹さんのグラスが空くと、俺が酒を注いだ。
 とくに言葉は交わさなかった。でも、しだいに無言でいるのが苦痛ではなくなった。
 ここにいることをきちんと認識してくれていて、俺のグラスの中身を気にしてくれている。それだけなのに、俺はここに居場所を作ってもらえた気がしたんだ。自分をよそ者と感じずにいられた。
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