光のもとでⅡ
 もしかしたら、「朗元」という作家名は伏せているのかもしれない。
 私は呼称を改め、 
「元おじい様、本日は藤の会にお招きいただきありがとうございます。それから、こんなにすてきな振袖をありがとうございます。……似合っているでしょうか」
「よく似合っておる。会場まではわしにエスコートさせてくれるかの?」
 ツカサがエスコートしてくれることになっていたけれど、朗元さんの申し出をお断りするわけにはいかない。
 近くにツカサがいないか見回してみたけれど、見える場所にツカサはいなかった。
「司は会場におる。最初のエスコートはわしに譲れと言ってきた」
 朗元さんの言葉にびっくりすると、
「答えは出たようじゃの?」
 ビー玉のような目に覗き込まれ、その目を見たままに「はい」と答えた。
「では、行くとするかの」
「はい」
 多くの視線が集まる中、私は朗元さんと一歩を踏み出した。
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