光のもとでⅡ
「翠葉ちゃん、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」
 真白さんに声をかけられ、苦笑を返す。
 茶席に大きな不安や緊張を強いられたわけではない。周りから寄せられる視線に緊張の糸が緩められないのだ。
「とは言っても……無理ね」
 真白さんは意味を解したのかクスリ、と笑った。
 朗元さんのエスコートを受けた時点でお母さんや蒼兄たちとは別行動になってしまっている。この広い庭園で次に会えるのはいつだろう。
 この茶席には知り合いしかいないという安心感はあるものの、このあと私はどうしたらいいのか――。
 茶席に着いて三十分ほど経った頃、
「翠葉ちゃん、いらっしゃい」
 かけられた声に振り返る。と、和服姿の秋斗さんが茶席に入ってきた。
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