光のもとでⅡ
雅さんは私に向き直ると、
「立っているのは良くないのでしょう?」
優しく声をかけられ、長椅子に座るよう促される。
「その振袖は……紫紺に近い色味からすると会長からの贈り物かしら?」
「……はい」
「そう。とてもよく似合っているわ」
「雅さんも、とてもよくお似合いです」
「ありがとう」
以前の雅さんなら、赤や黒地に豪華絢爛な花模様。もしくは冷たい感じのするブルーに煌びやかな花模様といった振袖をイメージする。けれど、今の雅さんには優しいクリーム色の留袖がしっくりとくる。派手な模様の振袖よりも留袖……。様々な花が飾られた御所車は主張しすぎずクリーム色に調和する。かわいいやきれい、というよりも、上品で落ち着いた印象を受けた。帯揚げが柔らかな抹茶色で、帯締めがワインレッドという小物の色使いもすてき。
何より、会うたびに感じていた威圧感を全く感じない。こんなにも、態度や雰囲気がガラリ、と変わる人に会ったのは初めてのことで、私は少し戸惑っていた。
「立っているのは良くないのでしょう?」
優しく声をかけられ、長椅子に座るよう促される。
「その振袖は……紫紺に近い色味からすると会長からの贈り物かしら?」
「……はい」
「そう。とてもよく似合っているわ」
「雅さんも、とてもよくお似合いです」
「ありがとう」
以前の雅さんなら、赤や黒地に豪華絢爛な花模様。もしくは冷たい感じのするブルーに煌びやかな花模様といった振袖をイメージする。けれど、今の雅さんには優しいクリーム色の留袖がしっくりとくる。派手な模様の振袖よりも留袖……。様々な花が飾られた御所車は主張しすぎずクリーム色に調和する。かわいいやきれい、というよりも、上品で落ち着いた印象を受けた。帯揚げが柔らかな抹茶色で、帯締めがワインレッドという小物の色使いもすてき。
何より、会うたびに感じていた威圧感を全く感じない。こんなにも、態度や雰囲気がガラリ、と変わる人に会ったのは初めてのことで、私は少し戸惑っていた。