光のもとでⅡ
「……おいおい、思ってることが駄々漏れすぎだろ……」
昇さんの両手がこめかみのあたりに伸びてきて、頭をぐりぐりと攻撃される。
「や、ごめんなさいっ! 髪の毛、せっかくきれい結ってもらったのに崩れちゃうっ。やめてくださいっ!」
「安心しろ。髪型が崩れないように考慮してやる」
そんなやり取りをしながら庭園へ戻ると、やっぱり人目を集めることになる。
もしかしたら、やり取りや一緒にいる面子に視線を集めているのではなく、この着物の色が持つ意味に、かもしれない。
この庭園にいる人で藤色、または紫紺を身に着けている人はほんの数人しかいない。全員の着物を見てまわったわけではないけれど、秋斗さんや静さんにエスコートをしていただいた際、その場にいる人たちの着物は視界に入っていた。
私の思い違いでなければ、藤色の色留袖をまとっているのは真白さんとお母さん、それから湊先生。そして、長着や羽織に藤色、または紫紺を用いているのは朗元さんと静さんのみ。
それほどまでに、藤色や紫紺をまとう人がいないのだ。
昇さんの両手がこめかみのあたりに伸びてきて、頭をぐりぐりと攻撃される。
「や、ごめんなさいっ! 髪の毛、せっかくきれい結ってもらったのに崩れちゃうっ。やめてくださいっ!」
「安心しろ。髪型が崩れないように考慮してやる」
そんなやり取りをしながら庭園へ戻ると、やっぱり人目を集めることになる。
もしかしたら、やり取りや一緒にいる面子に視線を集めているのではなく、この着物の色が持つ意味に、かもしれない。
この庭園にいる人で藤色、または紫紺を身に着けている人はほんの数人しかいない。全員の着物を見てまわったわけではないけれど、秋斗さんや静さんにエスコートをしていただいた際、その場にいる人たちの着物は視界に入っていた。
私の思い違いでなければ、藤色の色留袖をまとっているのは真白さんとお母さん、それから湊先生。そして、長着や羽織に藤色、または紫紺を用いているのは朗元さんと静さんのみ。
それほどまでに、藤色や紫紺をまとう人がいないのだ。