光のもとでⅡ
 爽やかな青の長着と同系色の光沢ある羽織に淡いグレーの袴。藤棚の下に立つツカサは、まるで絵を切り取ったように美しい。
 和服が似合うのなんて嫌というほど知っていたけれど、知っていても困るものは困るのだ。
 どうしよう……。じっと見ていたいのに見ていられない。目のやり場に困る。
 自分がどれほど赤面しているのかを自覚しているだけに、恥ずかしくて仕方がない。
「お邪魔しまーす!」
 唯兄の声に視線を上げる。と、
「あーあ……リィ、かわいそうなくらい真っ赤だね?」
「だってっ――」
 理由を言いたくても言えない。
「それを言うならうちの愚息も普段より血色がいいようですよ」
 涼先生の言葉にツカサをちら、と見ると、ほのかに赤味差した頬だった。そして、ツカサも私と同じように塀の方へと視線を逸らしていた。
< 279 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop