光のもとでⅡ
「ツカサ、今の人たち全員覚えなくちゃいけないのかな……」
「別に……。面倒くさい人間の相手はこっちに任せてくれてかまわない」
「その言葉、信じてるからね? 私、今日話しかけてきた人の顔も名前も全く覚えられていないんだから」
「それ、威張ること?」
「威張ってるつもりはないけど、そう見える?」
「強いていうなら、覚えるつもりが全くないようには見える」
「……否定はしない、かな? だから、覚える必要があるなら今言ってね?」
「今は覚えなくてもいい」
「この先は?」
「覚える必要があれば、顔写真付きのデータを渡すから心配しなくていい」
「……了解」

 調理場へ案内されると、私に気づいた須藤さんがすぐに出てきてくれた。
「須藤さん、お久しぶりです」
「翠葉お嬢様、ご無沙汰しております」
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