光のもとでⅡ
ツカサの唇には自分に塗られていた紅がくっきりとついていた。紅は、ツカサの白い肌にとても映える。きれいだな、と一瞬見惚れてしまったくらい。
胸元から懐紙を取り出し渡すと、ツカサは顔を背けて唇を拭った。
再度手を引かれ、部屋の中ほどに置かれたソファに腰掛ける。
もともとの部屋は和室なのだろう。そこに絨毯が敷かれており、和と洋が混在した応接室になっていた。
しばらくは部屋の観察をしていたものの、気づけば無言空間を意識することとなる。それでも、藤棚にいたときほど居心地が悪いとは思わなかった。思わなかったけれども、まだいつものように顔を見て話せる気はしない。
「ツカサ、手、つないだままでもいい?」
ツカサは何も言わず、離しかけた手に再度力をこめてくれた。
いつもそう。手をつなぎたいと言えば無言でつないでくれる。そんなことがひどく嬉しいと思う。
側にいられることを嬉しいと思う。でも、ツカサが何を考えているのかを知ることができたらもっと嬉しい。
今、私が何を考えているのかを話したら、ツカサも話してくれるかな……。
胸元から懐紙を取り出し渡すと、ツカサは顔を背けて唇を拭った。
再度手を引かれ、部屋の中ほどに置かれたソファに腰掛ける。
もともとの部屋は和室なのだろう。そこに絨毯が敷かれており、和と洋が混在した応接室になっていた。
しばらくは部屋の観察をしていたものの、気づけば無言空間を意識することとなる。それでも、藤棚にいたときほど居心地が悪いとは思わなかった。思わなかったけれども、まだいつものように顔を見て話せる気はしない。
「ツカサ、手、つないだままでもいい?」
ツカサは何も言わず、離しかけた手に再度力をこめてくれた。
いつもそう。手をつなぎたいと言えば無言でつないでくれる。そんなことがひどく嬉しいと思う。
側にいられることを嬉しいと思う。でも、ツカサが何を考えているのかを知ることができたらもっと嬉しい。
今、私が何を考えているのかを話したら、ツカサも話してくれるかな……。