光のもとでⅡ
「とっても美味しいのよ?」
「……甘いもの苦手なんだけど」
「果物の桃も苦手?」
「果物なら食べられるけど……」
「なら大丈夫っ! だって、果物の桃の甘さしかしないもの」
 気が進まないふうのツカサにスプーンを渡し、ツカサが一口目を口にするのをじっと見ていた。ツカサは居心地悪そうな顔でスプーンを口に運び、感想らしきことを口にする。
「……食べられる」
「ツカサ、やり直し。食べられる、はあまりいい感想じゃないよ? 美味しいなら美味しいって言わなくちゃ」
 ツカサの顔を覗き込むと、
「……美味しい」
 言い直してくれたものの、罰が悪そうに顔を背けられた。
 そんなツカサを見ても嬉しい。好き、と思う。
 心に好きが溢れる。どうしたらこれをすべて伝えられるだろう。どうしたら伝わるのかな。
 彼氏彼女、恋人――そんな関係性には少し憧れた。でも、そんな関係になれたとして、気持ちをすべて伝えられるかは別物みたい。
 どうしたら伝わるのかな。どうやったら伝えられるのかな。
 そんなことを考えながら、今日二回目のシャーベットを口にした。
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