光のもとでⅡ
「秋斗さんがチャンスを逃した一因は私にもありますので、ひとつ簡単な心理学をお教えします」
「心理学……?」
「ザイオンス効果をご存知ですか?」
「いや、知らないけど……」
 それは別名「単純接触効果」と呼ばれ、繰り返し接するうちに印象や好感度が上がっていくというもの。つまり、繰り返し接することで印象がよくなり好意を持たれる、というものらしい。
「それが何……?」
「人は単純なんです。身近にいる異性を好きになることが多いのは、この効果の影響でもあります。つまり――」
「翠葉ちゃんの側にずっといたら好感を持ってもらえる……ってこと?」
「はい」
 理論はわかったが、
「でもそれ、全然役に立ちそうにないよ」
「なぜです?」
「だって、どうやっても俺より司のほうが翠葉ちゃんといる時間が長いからね」
「それは……今は、ですよね?」
「え……?」
 雅はにこりと笑みを深めた。
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