光のもとでⅡ
藤の会での様子は蒼樹さんから少し聞いていた。
どうやら、会長邸宅に着いたところから、翠葉は家族と別行動になっていたらしい。そして、庭園へ移動してからも、家族である蒼樹さんたちですら、翠葉に近づくのは容易ではなかったという。
翠葉は顔馴染みの藤宮一族のエスコートを一通り受けたあと、大半の時間を会長の側で過ごしていたらしい。それが藤宮司の考えだったのか、会長自らそうさせたのかは不明。それでも、厄介な人間に声をかられずにいられる環境としては、これ以上ない場所にいたといえる。
「桃華さんは蒼兄に距離を置かれたこと、ある……?」
「翠葉、蒼樹さんとあの男を一緒にするのはやめてくれないかしら? 蒼樹さんはあんなに気難しい人間じゃないわ」
真顔で断ると、翠葉はクスリと笑った。
「ツカサはそんなに気難しい人じゃないよ。ただ少し、感情表現が不器用なだけ」
そんなふうに言えるのは翠葉だけだと思う。あの男は誰がどう見ても気難しい人間だと思うし、人と関わることにおいては面倒このうえない。
どうやら、会長邸宅に着いたところから、翠葉は家族と別行動になっていたらしい。そして、庭園へ移動してからも、家族である蒼樹さんたちですら、翠葉に近づくのは容易ではなかったという。
翠葉は顔馴染みの藤宮一族のエスコートを一通り受けたあと、大半の時間を会長の側で過ごしていたらしい。それが藤宮司の考えだったのか、会長自らそうさせたのかは不明。それでも、厄介な人間に声をかられずにいられる環境としては、これ以上ない場所にいたといえる。
「桃華さんは蒼兄に距離を置かれたこと、ある……?」
「翠葉、蒼樹さんとあの男を一緒にするのはやめてくれないかしら? 蒼樹さんはあんなに気難しい人間じゃないわ」
真顔で断ると、翠葉はクスリと笑った。
「ツカサはそんなに気難しい人じゃないよ。ただ少し、感情表現が不器用なだけ」
そんなふうに言えるのは翠葉だけだと思う。あの男は誰がどう見ても気難しい人間だと思うし、人と関わることにおいては面倒このうえない。