光のもとでⅡ
「どうして……?」
「あの男なら、嫌いになったら嫌いになったですぐにそう口にすると思うわ。間違っても、『付き合っている状態』を継続するとは思えない」
「……そう言われてみると、そうかな?」
「白黒はっきりさせたいタイプだから、その部分は心配しなくていいと思うの」
「うん……」
 頷く翠葉は無理に笑顔を作ろうとしていた。
「直接訊いてみたらどう?」
「桃華さんなら訊く?」
「……蒼樹さんに避けられる、という状況があまり想像できないのだけど――でも、翠葉と同じ状況なら訊くわ。何もわからなくて不安な気持ちを抱いたままなのは嫌だもの」
 翠葉は少し目を見開き、
「桃華さんは強いな」
 と、口元にわずかな笑みを浮かべた。
「私はちょっと怖い。避けられているのかも、って思っても認めたくなかったくらいだし……」
「でも、藤の会からかれこれ二週間も経っているのよ? ずっとこのままでいるつもり?」
 正直、それはやめてほしい。今ですら、生徒会メンバーは藤宮司の機嫌をうかがいながら仕事をしているというのに、これ以上続こうものなら嵐子先輩あたりが発狂するだろう。二週間堪えていることのほうが奇跡だ。
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