光のもとでⅡ
「蒼兄は? このあとまた出かけるの?」
 お父さんと一緒じゃないから仕事が終わって帰ってきた、というわけではないのかもしれない。
「これからここで仕事。秋斗先輩に頼まれた資料があるから、それをまとめるために帰ってきた」
「そっか……」
「……なんかある?」
「ううん……」
「……翠葉、ティータイムに付き合って」
「え?」
「仕事に取り掛かる前に休憩したい」
 すぐにわかった。これは蒼兄の気遣いだ。
 私はその優しさに甘えることにした。
「……ありがとう。コーヒーを淹れるね」

 飲み物の用意をしてダイニングに落ち着くと、
「何かあった?」
「ん……少しだけ、時間もらえる?」
「大丈夫だよ」
「……あのね、ツカサに距離を置かれている気がするの」
 本当は「気がする」のではなく、確定事項だ。
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