光のもとでⅡ
「っ……どうしたの!?」
「……別に」
 別に、じゃない。ここに座れば翠が疑問に思う。きっと尋ねてくる。それがわかっていたからここに座った。
 ある意味、俺なりの決意表明。
「……本当に、どうしたの?」
 翠は不安そうに俺の顔を覗き込んできた。
 ……やっと目が合った。
 そうは思うものの、黒目がちな翠の目が潤んで見えて、困ったな、と思う。
 翠の目はハナを彷彿とさせる。けど、これはどこからどう見ても人間で、自分が好きになった女で、翠でしかない――。
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