光のもとでⅡ
「お母さんと蒼兄は?」
「私は朝食を食べたら幸倉へ行ってくるわ。午前に一件仕事が入ってるの。帰ってくるのは午後を回るわね」
「俺は、午前中は秋斗先輩のところで仕事。午後からは桃華とデート」
デート……ちょっと、羨ましいかも。
「リィは司っちとデートとかしないの?」
唯兄の言葉がまたしてもグサリ、と胸に突き刺さる。
付き合いだしてから、ツカサとどこかへ出かけたことはない。まだツカサを好きではない頃に一度、藤倉の市街へ行ったことがある程度。
メールと同じで、毎日のように学校で会っていると、休みの日まで会う必要性を感じないからかもしれない。学校外で会うのは、テスト前からテスト期間――マンション内での勉強会と会食のみだ。
返事がないことに状況を悟ったのか、
「たまにはデートとかしたらいいのに」
ケロリとした顔で唯兄に言われ、私は必死に表情を繕い「そうだよね」と苦笑を返した。
現況、「デート」なんて口が裂けても言えない……。もし言えたとして、ツカサの反応を想像するだけで落ち込める――。
「私は朝食を食べたら幸倉へ行ってくるわ。午前に一件仕事が入ってるの。帰ってくるのは午後を回るわね」
「俺は、午前中は秋斗先輩のところで仕事。午後からは桃華とデート」
デート……ちょっと、羨ましいかも。
「リィは司っちとデートとかしないの?」
唯兄の言葉がまたしてもグサリ、と胸に突き刺さる。
付き合いだしてから、ツカサとどこかへ出かけたことはない。まだツカサを好きではない頃に一度、藤倉の市街へ行ったことがある程度。
メールと同じで、毎日のように学校で会っていると、休みの日まで会う必要性を感じないからかもしれない。学校外で会うのは、テスト前からテスト期間――マンション内での勉強会と会食のみだ。
返事がないことに状況を悟ったのか、
「たまにはデートとかしたらいいのに」
ケロリとした顔で唯兄に言われ、私は必死に表情を繕い「そうだよね」と苦笑を返した。
現況、「デート」なんて口が裂けても言えない……。もし言えたとして、ツカサの反応を想像するだけで落ち込める――。