光のもとでⅡ
 その日の夜、ツカサは八時ぴったりにやって来た。
 自室に通し、前置きのような質問を試みる。
「ツカサ、栞持ってる?」
「は?」
「本に挟む栞、持ってる?」
「……持ってるけど」
「素材はなんでしょう……」
「皮とステンレスといくつか持ってるけど……」
 ちょっと落胆。これからプレゼントするものを、ツカサは間違いなく持っている気がする。
「やっぱり、ちゃんと聞いてからにすればよかったな……」
「……なんの話?」
「誕生日プレゼント……」
 小さな手提げ袋をおずおずと差し出すと、
「開けていいの?」
「もちろん……。でも、ツカサは同じものを持っている気がするの」
 ツカサはペリペリと器用に包みを開けていく。開け方ひとつとっても几帳面なことがうかがえる。
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