光のもとでⅡ
 音を上げそうになったとき、
『最初はつらいかもしれません。でも、痛みが引いているのであれば少しがんばってもらいたい。二週間から三週間もすれば眠気は感じなくなるでしょう』
 久住先生にそう言われてひたすら耐えていた。すると、三週間が経つ頃には眠気やふらつきといった症状はかなり軽くなったのだ。
 相変わらず口の渇きはひどいものの、痛みの恐怖に比べたらできない我慢ではない。
 今では痛みという痛みをほとんど感じないまでになっている。
 この薬があったら今年の梅雨は憂鬱にならないで済むかも……。
 そう思えるくらいには痛みが軽減していた。
「ただ、春だからな……。翠葉、具合が悪くなったらすぐ保健室に行けよ?」
 蒼兄の言葉に頷き、私はひとりマンションを出た。
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