光のもとでⅡ
「キスはしていいの?」
「して……?」
 素直な気持ちだったけれど、口にするのはひどく恥ずかしく、じっと見られていることに耐えられなくなる。
 今度こそ離れようと力を加えると、それまで以上の力で引き寄せられキスをされた。
「ツ、ツカサ……身体、起こしたい」
 全身に汗をかきそうなくらいに熱い。それをツカサに悟られるのが嫌だった。でも、決して側にいたくない、という意味ではなく――。
 違うからね……?
 そんな意味をこめ、ツカサの手を握る右手に力をこめる。でも、口にしないと不安で、
「ツカサ……好き。大好き」
 目を見て言うことはできなかった。でも、言葉にした気持ちは届くと信じたい。
 何度か同じ言葉を口にすると、ツカサは私の唇の前に人差し指を立てた。
「ツカサ……?」
 ツカサは何も答えない。けれども、ゆっくりと顔が近づいてくればその先は想像ができる。
 私は目を閉じ、唇に訪れる柔らかな感触を待った。
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