光のもとでⅡ
「唯一変な行動を取ったといえば……翠葉が髪を結ってきた日に、それを解いたことくらいでしょうか?」
 結ってきた髪を解いた……?
 頭の中で想像して、なんとなく理由がわかった気がした。
 藤の会の日も、翠葉は髪をきれいに結い上げていたのだ。
 その姿を見て、俺が何かを思うことはない。けれど、相手が桃華なら、と置き換えてみれば、司が何を考えたかは安易に想像できる。
 俺なら首筋に目がいく。
 これは、唯の予想がビンゴってことかな……。
「蒼樹さん……?」
 急に黙り込んだ俺を不思議そうな目で桃華が見上げてきた。
 たとえば、そんな仕草を見てかわいいな、と思えばキスをしたくなる。
 不意に口付けると、桃華はびっくりした顔で唇を手で覆った。
「き、急になんですかっ!?」
「ごめん、キスしたくなった」
 司は、こうは言えないのかもしれないし、こんなふうにキスができないのかもしれない。
 なんだ……俺、ちょっと心配しすぎたかも。
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