光のもとでⅡ
「まだ四時で良かった……そういうことは早く言ってください。ほら、行きますよっ?」
 先に席を立った桃華に腕を引かれて立ち上がり、もう一度くらいキスしてもいいかな、などと思う。
 散歩していたときよりも数段速い足取りの桃華を引き寄せ、
「もう一度キスしてもいい?」
「……もぅ……訊かないでください」
 桃華は恥ずかしそうに口にした。
 ゆっくりと顔を近づければ目を瞑ってくれる。
 俺はゆっくりと唇を重ね、いつもとは少し違うキスをした。重ねるだけではない。でも、舌を差し込むでもない。ただ、少し吸い付くようなキスをした。
 一気にあれこれ求めるつもりはない。でも、少しずつは前に進みたい。
 願わくば、そんな気持ちを受信してくれると嬉しいかも――。
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