光のもとでⅡ
 でも、これは蒼樹さんが言っていた話に通じるものがある。つまり、藤宮司は「その先」を考えたからこそ翠葉と距離を置いていたのではないのだろうか。しかし、翠葉の話だと「その先」はまだ受け入れられないという結論。それがどうして「解決」に至ったのか――。
 墓穴掘ったかも……。自分から迷宮に足を踏み入れた気分だわ。
「桃華さん、桃華さんは蒼兄に『その先』を求められたらどうする?」
「えっ――!?」
「あ、急にごめんね? ただ、なんとなく……どうするのかなって思っただけなの」
 赤面したまま何も答えられずにいると、翠葉は照れ隠しのように笑った。
「まだわからないよね。……でも、玉紀先生が仰っていたことは本当なのかもしれないって思えた」
「……なっちゃん先生が言っていたこと?」
 翠葉はコクリと頷く。
「『その先』が、手をつなぐ行為やキスの延長線にあるものだったらいいな。そう思えたら、いつかは怖くないと思えるのかもしれない。でも、今はまだ高校生だから、高校生でいたいから、そういう関係になる覚悟は持てない……。こういう気持ちも少しずつ変化していくのかな?」
 じっと翠葉を見つめていると、
「恋ってすごいね? 今まで知らなかった気持ちが次々押し寄せてくる感じ」
 そう言ってにこりと笑った。
< 421 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop