光のもとでⅡ
「どこか行きたい場所があるとか?」
「あ、えと……楽器屋さん? それから、本屋さんっ。それから……雑貨屋さんっ」
「……楽器屋って、前に行ったところ?」
「うん」
「本屋は駅ビルの中の?」
「うん。雑貨屋さんはウィステリアデパートの中にあるのだけど……だめ?」
「だめじゃないけど……」
 ツカサの視線は呆れているように見える。
「……おかしい?」
「おかしいとは言わないけど、誕生日のお祝いじゃなくても行ける場所だとは思う」
 ツカサにとってはそうかもしれない。でも、私にとっては違う。
 友達とどこかへ出かけるなんてしたことがないし、好きな人とお買い物やお出かけをするのは特別なことだ。
「ほかに行きたいところは?」
 急に訊かれても、提示できる場所がない。それを察したのか、
「じゃ、待ち合わせは――」
「藤倉の駅っっっ」
 またしても、不思議そうな視線を向けられた。
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