光のもとでⅡ
「どうしよう、楽しみすぎて今夜眠れないかも……」
 その前に、着ていく洋服を決めなくちゃ……。
 クローゼットを開いてラグに座り込む。
 秋斗さんとデートをしたときは濃紺のワンピースを着たのよね……。でも、今回は背伸びをする必要はない。強いて言うなら、ルームウェアっぽいものはやめよう。
 チュニックにレギンス、というスタイルはルームウェアの定番。でも、そのほかのものといってもワンピースばかりだ。そのどれもがツカサの前で着たことがあるもの。クローゼットの中にあるもので、ツカサの前で着たことがないワンピースは三着。そのうちの一着はとても丈が短い黒のワンピース。
「……去年の誕生日プレゼントに買ってもらったワンピースだけど、まだ一度も着てない」
 しかし、これを着ていく勇気はない。
 コンコンコン――。
「はい……?」
「リィ、まだ怒ってる?」
「……怒ってないよ」
 横着をして座ったままドアを開けると、唯兄が「ごめんなさい」の顔でトレイを持っていた。
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