光のもとでⅡ
「なんでデートで楽器屋? 本屋? もっとそれっぽいところに行けばいいのに」
 ……やっぱり、デートには相応しくない場所なのだろうか。そもそも、デートってどこへ行くものなの?
 不安に思い始めると、蒼兄の手が頭に乗った。
「そんな不安そうな顔する必要ないよ」
「蒼兄、デートって……どこへ行くものなの?」
「どこへ行くとは決まってない。決めるのは行く本人たち」
「蒼兄は桃華さんとどこへ行くの?」
「うーん……映画とかショッピング。たまに公園を散歩したりもするし、ドライブにも行く。その時々で違うよ」
 蒼兄の話を聞いていると、唯兄が右にかけてあるワンピースを手に取った。それは蒼兄がプレゼントしてくれたワンピース。
「街中に行くならフレアスカートのキャミワンピ、このくらいラフな感じがいいかもね。俺がプレゼントしたほうは、ちょっとかしこまったレストランやホテルでも通用する系。仕事に行くときにでも着ればいいし」
 唯兄は言いながらクローゼットを物色し始める。
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