光のもとでⅡ
 ツカサは少し沈黙して、
「……食べるときの楽しみにさせて」
 言ったあとは少し俯き、顔を逸らされてしまった。
 顔を逸らされる直前、眉をひそめて困っているような顔が、とってもかわいく思えた。
 そんな表情を見られたことを嬉しく思い、幸せな気分になる。
 まだ見たことのないツカサの表情を、この先いくつ見ることができるだろう。そんなことを考えながら、私はツカサの嗜好を探る質問を繰り返す。 
「洋食と和食だったらどっちが好き?」
「どっちも好きだし食べられる。けど、どっちかっていうなら和食が好き」
「酢の物は好き?」
「好き」
「ごま油も大丈夫?」
「問題ない」
「辛いもの、鷹の爪とかは?」
「それが主体じゃなければ」
「おにぎりの具で一番好きなのは?」
「梅おかか」
 尋ねたことにすべて答えてもらえることが嬉しい。
 この日、私の頭に「ツカサの嗜好フォルダ」が作られた。
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