光のもとでⅡ
別行動が始まっても俺の意識は翠へ向く。なぜなら、昨夜のうちに御園生さんから注意事項の連絡があったからだ。
翠は本屋に入ると、本に夢中になって立ちっぱなしでいることを忘れるらしい。そうして脳貧血を起こすことが多々あるという。
そんなバカな話があるか、と思いはしたが、御園生さんは正しかった。
進路の手引き書を手にしてからすでに十分。そろそろ血圧が下がり始めてもおかしくない。
俺は背後から近寄り翠に声をかけた。
「ん?」
「少しは動け。血圧が下がる」
「あ……」
翠は今気づいたふうで携帯を取り出す。ディスプレイには七十台後半の数値が並んでいた。
「ごめん……ありがとう」
「……それ、今だけ預からせてくれるなら、数値見ながら声かけるけど?」
「え? でも……それじゃツカサが本を見られないんじゃ――」
「脳貧血で倒れられるよりはいい」
翠は本屋に入ると、本に夢中になって立ちっぱなしでいることを忘れるらしい。そうして脳貧血を起こすことが多々あるという。
そんなバカな話があるか、と思いはしたが、御園生さんは正しかった。
進路の手引き書を手にしてからすでに十分。そろそろ血圧が下がり始めてもおかしくない。
俺は背後から近寄り翠に声をかけた。
「ん?」
「少しは動け。血圧が下がる」
「あ……」
翠は今気づいたふうで携帯を取り出す。ディスプレイには七十台後半の数値が並んでいた。
「ごめん……ありがとう」
「……それ、今だけ預からせてくれるなら、数値見ながら声かけるけど?」
「え? でも……それじゃツカサが本を見られないんじゃ――」
「脳貧血で倒れられるよりはいい」