光のもとでⅡ
 そんなことを感じながら、
「……ってことは、音大と写真学科、園芸学科あたり?」
「うん。まずはこの近辺にある学校を調べて、資料請求しようかなと思って」
「倉敷音大なら茜先輩の進学先だし、音楽の蓮井先生の出身大学でもある。話を聞くことはできるんじゃない? それから久先輩が葉山大学の写真学科、夜間に通ってる。こっちも話を聞くことはできると思う」
「ありがとう。先輩たちに連絡取ってみる。どこへレッスンに行くかもまだ悩んでいるから、蓮井先生に相談してみようかな」

 話が一段落したところで、
「胃の調子は?」
 調子は、と訊きながらも、実際知りたかったのは空き容量。翠はクスリと笑い、
「あのね、唯兄からプレゼントに食べ物もあるみたいって聞いて、お夕飯は少し控えてきたの」
 どうやら、嫌な思いをした分くらいは報われるらしい。
「それは何より」
 部屋を出ると、翠が後ろから小走りでついてきた。
 冷蔵庫からまだ切り分けていないケーキを取りだすと、
「ミルクレープっ!?」
「そう。甘さ控え目、生クリームとチーズクリームのサンドになってる」
「食べるの楽しみ!」
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