光のもとでⅡ
 ケーキを切り分け別途作っていたジャムを添えると、
「わぁ……かわいい」
 翠は嬉しそうに頬を緩めた。

 部屋に戻りキャンドルに火を点けると部屋の照明を落す。
 キャンドルの炎のもと、俺はようやくプレゼントを翠に渡すことができた。
「開けてもいい?」
「どうぞ」
 華奢な指がリボンを解き箱を開ける。チェーンに指をかけた翠は、
「栞の天然石と同じ……?」
「そう。同じもので作ってもらった」
 翠なら気づく。わかっていても、声にして言われるとこみ上げてくるものがある。
 それをひた隠し、翠からチェーンを取り上げ左手首に装着する。と、箱の中からもうひとつのアイテムを取り出した。
「これを使えば携帯ストラップにもなる。……ただし、秋兄がプレゼントしたストラップを外さないと付けられない」
 翠はきっと悩む、そうとわかっていて突きつけた。
 好きと言われても、秋兄ではなく俺を選んでくれたとわかっていても、確固たる意思表示なるものを欲して。
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