光のもとでⅡ
 俺はこんなことを何度繰り返すつもりなのか――。
 自分に問いながら、
「火、そろそろ消したほうがいいと思うけど?」
「あ、うんっ」
 翠は慌てて数字を模したキャンドルを吹き消した。
 暗い室内に翠の影を捉えると、
「ツカサ……?」
 こちらを向いた翠と目が合った。
 わずかに開いたままの唇を、自分の唇で挟むように口付ける。
 今度は震えてはいなかった。
 一度解放したものの、後ろ髪を引かれるように再度唇を重ねる。
 長いキスを終えると翠は俯き、
「ケーキ……食べないと溶けちゃう」
「溶けたら冷蔵庫に入ってるケーキを出せばいい」
 どんな表情をしているのかがわからないのをいいことに、もう一度口付けようとすると、
「ケーキ、食べようっ?」
 今度は力尽くで拒否された。
 思わずついてしまったのはため息。そんな自分をフォローするように、または翠の状態を探るように、華奢な肩をそっと抱き寄せる。それには反する力を加えられなかった。
< 482 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop