光のもとでⅡ
 何が良くて何がだめなのか――。
「キスはしてもいいんじゃないの?」
「……そうなんだけど……なんか、心臓、壊れそう……」
 どうして片言なんだか……。
「キスじゃ心臓は壊れない」
 すぐそこに翠の心臓があることに気づき、自分の右手を胸に添えた。すると、はっきりとした振動が手の平に伝ってくる。
「つ、ツカサっ!?」
「……すごい鼓動」
「そんなのっ、私の携帯見ればわかるでしょうっっっ!?」
「触れるほうが早い」
 他意はなかった。けど、一瞬にして魔が差す。
 胸の中央に当てていた手を少しずらすと、柔らかな感触を得た。
「ツカサっ――」
 翠の両手に阻まれた途端、ピンポーン――。
 まるで計ったようなタイミングでインターホンが鳴った。
< 483 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop