光のもとでⅡ
 ツカサの背を追いかけ隣に並び、
「今日の七夕祭りには誰が来るの?」
「うちの両親と兄さん夫婦、静さんと姉さんは来られないらしい」
「海斗くんと朗元さんは?」
「海斗は部活が終わったら立花と藤倉駅でやってる七夕祭りに行くって」
「……お祭り?」
「藤倉の駅前通りでやってるやつ。北口のターミナル脇に大きな笹が飾られているらしい」
「……すごく混みそうだけど、そういうところへ行っても大丈夫なの?」
「さすがに今日は近接警護だろうな。そうまでして行きたい心境が俺にはわからないけど」
 ツカサらしい言い分に苦笑を返すと、
「じーさんが来るかは聞いてないけど、バーベキューと花火もするらしいから来ないと思う」
「あ、喘息持ちだから?」
「そう。翠は? 一度マンションに戻るの?」
「うん。お母さんが幸倉から浴衣を持ってきてくれたの。だから、久しぶりに浴衣を着ようと思って。それから、マンションからは果歩さんと一緒に藤山まで歩く約束をしているの」
「……そう」
 そんな話をしていたら芝生広場に着いてしまった。
 捕虜の列は蛇行しており、結構な長さになっている。そして、最後尾には見知った人が立っていた。赤いツンツンとした髪の毛は風間先輩だ。
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