光のもとでⅡ
「じゃぁさじゃぁさ、取引しませんか?」
「取引……?」
「そっ! 私、理系が壊滅的にだめなの。いつも聖に教えてもらってなんとか平均点前後を採れる程度。だから、夏休みの宿題、理系科目見てもらえないかな? その代わり、私はソルフェージュを教えてあげる」
「本当っ!?」
「ソルフェなら任せてっ!」
 利害が一致し、毎週日曜日は柊ちゃんとお勉強をすることになった。
 これからずっと日曜日がレッスンの日になるなら、高崎さんに観葉植物のことを教えてもらうのは土曜日になるのかな……。あ、でも、夏休み中は曜日問わずお手伝いできるかも……?

 しばらく互いの学校の話をしていると、ごく自然に進路の話へと話題が移る。
 当初、柊ちゃんは幼稚園の先生になりたかったという。しかし、倉敷音大には音楽教育学科幼児教育専攻といったものがないため、大学を卒業したところで幼稚園の先生にはなれないらしい。また、そういった学科があっても柊ちゃんが学びたい声楽を専門的には学べないのだとか。結果、音楽教室でリトミックを教える、という目標を見出し声楽を受験することに決めたらしい。
 聖くんの進路は佐野くんと同じで教育学部みたい。
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