光のもとでⅡ
 私は――高校に入ったばかりの頃は一週間先、一ヶ月先のことを考えることもままならず、将来のことまで考えが及ばなかった。そんな中、二年次の選択を前に悩み、そこでは答えを出すことができずに得意な理系へ進んだにほかならない。
 聞けば、支倉高校は二年次のクラス編成が受験に直結しているという。柊ちゃんは芸術コースの音楽を選択して、聖くんは理系の国公立受験組。
 ふたつの高校を並べてわかることは、二年になる前には将来を意識して取捨選択を始めるということくらい。
「ほかには? 音大のほかには何を考えてるの?」
 聖くんに訊かれてほかのふたつを口にすると、聖くんと柊ちゃんは口をポカンと開けていた。佐野くんはもともと知っていたこともあり、私の隣で控え目に笑っている。
「三つとも畑違いだけど、なんていうか『感性』が問われるもの、っていう意味では同じなのかもね」
 聖くんの言葉に少し驚く。そんなふうに考えたことはなかったから共通点があるとは思いもしなかったのだ。
「それに、『感性』っていうなら、御園生さんは講師よりも奏者気質なんじゃないかな?」
「そ、奏者なんて無理っ。私、人前で何かするのはとても苦手だし、コンクールで評価されるのも苦手だものっ」
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