光のもとでⅡ
 クーラーに入れていた飲み物を取り出し、ペットボトルの半分ほどの分量をガブガブと流し込む。
 少し空気を変える感じで、
「御園生御園生、内緒話しませんか?」
 声を潜める必要はどこにもなかったけれど、雰囲気づくりのために声を潜める。と、同じくらい御園生も小さな声で、「ん?」と首を傾げた。
「ちょっとした報告」
「報告……?」
「俺、七倉と付き合うことにした」
「えっ!?」
 御園生のセンサーがピコン、と立った気がした。そんな反応に思わず笑みが漏れる。
「あのっ……あれ? あ……えと、佐野くんはすでに告白されているし……でも、一度は断っているから……えと――」
 どうしたことか、御園生が急にてんぱり始めた。
「インハイが終わって、入賞したって連絡をするときに俺から告った」
 御園生は大きな目をさらに大きく見開いて俺を見ていた。そして、
「おめでとう!」
 そう言ったかと思えば、
「あれ? 告白におめでとうは変? でも、こういうときはなんて言うの?」
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