光のもとでⅡ
 右に左に首を傾げる様が妙にコミカルに見える。俺はくつくつと笑いながら、
「おめでとう、でいいと思うよ」
「本当……?」
「うん」
「……おめでとう。良かったね」
 おめでとうの言葉と共に見せるふわっとした笑顔が妙に御園生っぽい。そういえば、七倉がこんなことを言っていた。
 ――「翠葉ちゃんの髪の毛は柔らかくて艶やかで、風で舞い上がったところが壮絶にかわいいの! あと、ふわっと空気を含んでる感じの笑顔がたまらなくかわいいよね」。
 そういうの、なんかわかる気がした。
 心の底から「おめでとう」の言葉を言われているのがわかるから、嬉しくて、ちょっと気恥ずかしい。
「香乃子ちゃん、喜んでるだろうなぁ」
「うん。……その、どうして、とか訊かないの?」
「……どうして?」
 御園生は首を傾げたまま固まってしまった。数秒後、機械的な動きで首をもとに戻すと、
「どうして、とは思わないけど……訊いてほしいの?」
 きょとんとした御園生に尋ねられ、ドキっとする。
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