光のもとでⅡ
 あれ? 俺、訊いてほしいのか? 言いたいのか?
「佐野くん……?」
 俺は答えが出ないままに、
「……言いたい、のかな?」
 御園生に習うようにして首を傾げる。と、
「なら、教えて?」
 話の運びはものすごくおかしかったのに、相手が御園生だとそんなの関係なく話せるから不思議だ。
 興味津々で訊かれるわけでもなく、だからといって全くの無関心というふうでもなく、聞いてもらえる環境がきちんと整ってます、そんな感じ。変な安定感があるところが御園生だ。
「ずっと立花のことを好きで、七倉に告白されてからも立花以外のことは考えられなかったんだけど、そういう返事をしても七倉はずっと俺を見ててくれて、俺が走ってるところの絵を何枚も何枚も描いてくれてたんだ。もちろん、見ていた分だけ俺の努力とか、悔しい気持ちとかもわかってくれてて……」
 御園生は相槌を打つでもなく、じっと俺の目を見ていた。
 なんだろう……この安心感。俺は不思議に思いながら、胸にある気持ちを紐解く。
「ずっと見ててくれるのが嬉しくなった」
 たぶん、そういうことなんだと思う。
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